シネマチップスに憧れて

ジジイになって来て、見た映画を忘れてまた見る、ということが増えてきた。名作ならよい。だが、好きでもない映画は大抵忘れているので、半分以上見てからようやく気がつくことがある。それを防ぐために、自分のための映画備忘録である。採点もしたが、これは単純にもう一度見る価値があるかどうか、という個人的な指標でしかない。だから総ての記事がネタバレ含む。未見の人は読まないように。

お約束作品 ダブル-完全犯罪-2012年/アメリカ/92分/50

死んだと思ったら死んでない。映画の公式をそのまま使ってる、サスペンスだが全く裏切りのないお約束映画。

そもそも撃たれて倒れた、とかで死んだと思い込むなんて、ちょっとでも映画を見てる人間だと絶対にあり得ない。だからこそ逆に、という展開もあるし、そもそも既にサスペンスでのトリックなんて死んでるから、見るべきはそこじゃない。どれほどパターンを複雑化させようと、所詮は組合せの問題だ。

だから単純なようだけど、見るべきはどれだけちゃんと描かれているか、納得できるか。納得できないのがどんでん返しの妙、なんて思ってる馬鹿が多すぎる。どんでん返しだけ意図して失敗した作品がどれほどあるか。

そう考えると、古典的な展開、イライラする規則破りの主人公、そしてお約束通りの犯人と、作品としてのレベルはテレビドラマだが不快感はない。というか、これも今や昔で、今はもう映画以上に面白いテレビドラマもあるからね。

まあ、90分ちょっとでテレビドラマ2本分。そう思えば、特に腹も立たん。

最後は見たよW ドラマW三谷幸喜「大空港2013」 2013/日本/100分/6

正確には映画じゃなくて、wowowの特番。実はハッピーフライトを見たあと、撮り溜めしていた中から、同じような飛行機ものを選んで見たんだけど。

これが全く同じ感想なんだが、まだ地上のあれこれだったのでマシだったので、暫くは見ていた。んでも、生瀬勝久演じる人が金の無心をする辺りでイライラし始め”疑問を抱き、その10分後には怒りに代わり、精神衛生上、それ以上見るのを辞めた。” ””は前回の分からコピーしました。

でも、この映画、じゃないドラマは違う。ワガハイは前回のことを反省し、一応ラストだけはチェックしようと思って、完全反則技だが、ラストがちょっと面白かったら見直そうかと思って、一応ラストだけはチェックした。

余計腹たった。f^_^;

でも、ハッピーフライトよりは長く見ることだできた。点数もだから倍だね。

wowowのページをみると、完全ワンシーンワンカットで撮った、ということが自慢のようだが、だからなに?
失敗できない緊張感の中での撮影、それがどうしたの?100万回カットして取り直してようが、最後面白いものができたらそれでいい。ワンシーンワンカットだからこその面白さ、どこにある? 

制作者側の自慰行為をこれ見よがしに見せつけられてもウンザリするだけ。そこまで変態じゃないんで。

フライトできず ハッピーフライト/2008年/日本/104分/3

映画を見る前に参考にするのは、もちろんwowowの時は番組表の短評である。しかし、絶対にこれは悪いことを書かない。見てほしいに決まってるから、爪の垢ほどのいいシーンを誉める。これはそういうものだから、仕方ない。ストーリーを理解する補助ぐらいには役立ってるし、それで十分だし。

ということで、今自分が結構信頼してるのが、前田有一さんという方がやってる、
★前田有一の超映画批評★
というサイト。

映画の魅力を語るときに、ネタバレをどうするのか、ということはもう大問題で、ネタバレした方が書きやすい。でも、このサイトは、ネタバレなしに、見事に的確に映画を批評しておる。すんばらしい。

ということで、映画を見る前に一応このサイトはチェックするようにしている。もちろん、このサイトで酷評されていても、そこは酷評されている、ということを参考にするだけで、それで見ないということはないけどね。

でも、ここで高評価なら、期待はもういやが上にも盛り上がる。

そこでこの映画。

超映画批評『ハッピーフライト』90点(100点満点中)

なんと90点。こんなに高得点なのはなかなかないよ。

ということで、期待に胸震わせて見た。

のだが。

最後まで見ることができなかった。

この前田さんの表現を借りると「あえて軽い味付け」がどうしても我慢できなかった。

飛行機とは、人の命を運ぶ仕事である。その人の命を預かる人びとがこんなことでいいのか。開始5分で疑問を抱き、その10分後には怒りに代わり、精神衛生上、それ以上見るのを辞めた。

ということで、自分に取っては全く見る意味のない映画なのだが、評価は高い。なんぞの間違いでこのページを訪れた人は、前田さんの批評を読んで、まずはちゃんと見てほしいとは思う。

イライラしながら我慢して見る時間が残っているほど、自分は若くはないのだ。

凡作の見本 ラストミッション/2014年/アメリカ/116分/40

2014年のアメリカでこんな作品が成立するんだなあ。まさにこれこそ凡作の見本。

仕事で家庭を省みなかった男が、余命僅かと知って修復に走る。あー、そうですか。

で、2014年だけあって、主人公の仕事がCIAとか、最後の相手が大物だがトンマな取り巻きでサスペンス調のくせに笑いを狙ったりと、それなりにひねったのかもしれないが、リュック・ベッソンがこんなアホだったと発見できたこと以外に収穫はなし。

見どころは、ヴィヴィ役のアンバー・ハード。めちゃくちゃ綺麗である。主人公もこのヴィヴィに無理難題言われるのであるが、男なら絶対にこんな美女の言うことに逆らうことはできないであろう。

ケビン・コスナーの大根ぶりを含めて、これぞ凡作。駄作、愚作と言わないのは、アンバー・ハードを出演させた見事さに免じて。だいたい、最後まで見たのもこの女優だけ見たかったからだ。最初に出なかったら、最後まで見てないよ。

覆い尽くした安直さ 刑事物語 2 リンゴの詩 1983/日本/106分/50

 いきなりネタバレしちゃうんだけど、死ぬんだよね、ヒロインが。たしか、新人をヒロインにして、沢口靖子もこのシリーズでデビューしたと思うんだけど。

 この2作目は、園みどりって人がヒロインやってて、すごいいい感じなんだよね。めっちゃくちゃな美人ではないんだけど、役柄がそうだから余計感じたと思うんだけど、薄幸って感じが清楚な感じと相まって、めっちゃくちゃいいのよ。そりゃ武田鉄矢にはもったいないけど、まあ、それはいいんだけど。

 見てる人を惹きつける要素としてあるんだろうけど。幸せの絶頂で殺される。主人公が泣き叫ぶ。もうね。高校生でも今どきこんな分りやすい話しないよね。そりゃノンフィクションなら泣くよ、冷血動物の俺だって。

 でもさ。フィクションの物語の中で、わざわざこんな展開作るなんて、もうさ~、興ざめもいいとこ。

 ハンガーアクションとか、後半に小学生との交流のあと、好きな人を守りたかったら強くなれというこの映画のメッセージを、小学生に身体で教えるシーンとかさ。

 岸辺シローのとぼけたマヌケさや、タモリ鈴木ヒロミツ、三浦洋一とか、果ては「駅 STATION」のオマージュで倍賞千恵子が出てきたりと、面白い見どころが満載なんだよ。

 すべて最初の設定の安直さがダメにしてる。

 振られ続ける「男はつらいよ」の寅さんだって、こっちは涙流しながら見てるのに、殺すなよ。自虐過ぎるだろ。そんなに悲しみが好きなのかな。このウェットさが全く苦手。

 あと、安直さとはまあ分りやすさってことで、小学生とかにいいかと思えば、具体的ではないにしろ、レイプシーンや、女の人の裸が出てきてとても小学生とは見られない。

 結局俺に取っては存在価値なし。タモリのシーンだけの点数。

逆転無罪 オールド・ボーイ 2013年/アメリカ/104分/30

オールド・ボーイ|映画|WOWOWオンライン

 

ほとんどは劇場ではなく、自宅の未だにブラウン管のテレビで見ている。支えてくれているのはwowow。もう20年以上は契約してるな。
ということで、映像の素晴らしさとか音響の迫力、なんかは映画館で見るよりも全くもって劣っている。実はもう十年以上前に自宅にサラウンドシステムを組んで、少なくとも音響に関しては迫力満点の環境で見ていたのだが、時々強権を発動する我が家の嫁が、後ろから音が聞こえてコワイ、などという全くもって理不尽な理由によって解体させられた。
全く夫の趣味に理解を示さない最悪な嫁ではあるが、愛しちゃッてるんだから仕方ない。逃げられたら明日の朝御飯も食べられない。ということで涙を飲んで仰せに従った。

「何者かの手で20年にも及ぶ理不尽な監禁生活を強いられ、復讐心に燃える主人公と、彼を待ち受けるさらなる驚愕の真実を、不条理サスペンス仕立てで衝撃的に描く。」というwowowの紹介文の通り。全くその通りの映画。
あとは超映画批評の批評を読んだら、総て終り。

原作は日本らしいが、とにかく暗い。最初はそりゃもう謎の監禁された主人公に感情移入するが、イジメた復讐にあってたと知り、苛められっこだった自分は、そこで総て逆転無罪。感情が逆に入って、主人公へのイタブリが甘いとすら思う。おまけに「衝撃」の復讐が実に甘い。気持ちは分らなくもないが、相手がそんなこと気にしない変態やったら、どうすんのよ。そんなに決定的かなあ。やるなら徹底的にやれやって思う。唇引きちぎらせろよ。

あり得ない設定だらけのご都合だけで進むバカ映画だが、ノンストップで見ることができることはできる。でもまあ、もう二度と見たくないね。

タイトルの意味と内容、自分で忘れないために。

その昔『シネマチップス』という映画番組があった。今まで見たどのような映画番組よりも素晴らしく、楽しく、身近な番組で大好きだったのだが、椎名誠に潰された。

まあ、椎名誠ごときに潰される程度の弱小番組であったのは事実なのだが、経緯を一通り書いてあるブログを見つけたので、リンク貼っておきます。

チンピラ☆馬鹿一代・生活ノート : 椎名誠「白い馬」 もしくはMBS「シネマチップス」事件

だいたい自分の記憶と一致しているが、一つだけ。レギュラー陣の、好きなように出来ないなら辞める、といった一種潔い態度はかっこよかったが、ファンとしては、とりあえず存続させて欲しかった。

イベントには必ず行ったし、葉書も何度か読んでもらったし、三上さんの大ファンだったし、実はイベントの時に一番乗りでテレビ映ったし。

そういう大好きな番組の名前をタイトルに入れさせて頂きました。ずっとビデオにも取ってたんだけど、時代はビデオからDVDになりBlu-rayになりで、どこかに行ってしまった。実に残念である。

って今ちょっと調べた見たら、三上智恵さん、映画まで撮ってるじゃん。

三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記 | マガジン9

すごいわ~。って全然追いかけてなかった。ファンとも言えませんなあ。

 

とと。

で、そのシネマチップス。映画評論界(?)という玄人集団の中で、素人の感想だって素晴しいというスタンスが実に素晴らしく、時には見当外れの酷評も、それはそれで素晴らしかった。

ワガハイも全くの素人である。映画監督の名前もほとんど言えない。三上智恵さんぐらいである。でも、映画を見たからには、感想ぐらい言う資格はきっとあるだろう。

とはいえ、このブログは、そういった映画評論界への殴り込みとか一石を投じるとか、全くありません。紹介にも書いたけど、最近ジジイになって、一度見た映画を忘れて見てしまう、ということが多くなってきたのだ。これではイカン。人生の残り少ない貴重な時間を無駄にすることになる。名作ならまだしも、そうではない映画を二度見る時間は人生には無い。

てなわけで、採点もガンガンするが、あくまでももう一度見る価値があるかどうか、という視点からのもので、映画が素晴しいかどうか、ということとは微妙に違う、場合がある。

もちろん、素晴しいからもう一度見たくなるわけだし、ツマラナイから見たくないのだが、良かったがツライので見たくないとか、下らないが笑ったのでもう一度みたいとか、いろいろとあるだろう。その辺はテキトーな感じで行きたいが、一応の目安を自分で忘れないために書いておきたい。

100 毎日見直してもいい映画。絶対にBlu-rayに焼くべき。

99-90 Blu-rayに焼いて、好きなときに見るべき映画。何度見てもいい。

89-80 焼くのはDVDでいいな。いい映画なので、見直す価値あり。

79-60 映画としてはまあまあ。カワイイ女優さんがでてれば焼いてもいい。ま~、レートは落とそう。

59-50 見直す価値なし。とはいえ、なにかあったら見直すかも。ビッグネームのデビュー作とか。

49-40 ま~、もういいね。中途半端な駄作というのが実は一番キツイもんな。

39-30 この辺りに来ると、面白くない、という強固な判断が必要。却って見たくなる可能性も否定出来ず。

29-20 面白くない、に加えて俳優が気に入らんとか演技がクソ、とかいうプラス要素がないと難しい。

19-10 基本的にはここが最低ライン。なんぞの間違いで最後まで見てしまったグループ。

9-1 この点は最後まで見られなかった時の為に用意する。細かい点は何分まで見ることができたかだ。

0 人生でこのような映画に出会ってしまったのは、全く不徳の致すところ。自分の存在総てを掛けて否定すべき映画。

 

こんな感じで行きます。