バイロケーション 裏 2014年/日本/121分/80
「表」と「裏」の違いは、2分しかない。しかし、意味するところは大きく違う。
なんでこちらが「裏」なんだと思ったりもしたけれど、残念ながら「表」があってこそ「裏」が輝くのかもしれない。この「裏」を最初に見たら、また、こちらしかなかったら、甘いだけのラストで、凡庸な映画っていう感想になったかも。「表」の強烈なラストを見たあとなんで、本当にこちらのラストに救われる。
でもね。
二つの悲劇があって、救われるのは一つだけなの。両方救われないよりは、片方でも救われた方がいいに決まってるんだけど、やっぱり二つ救って欲しいの。
自分がバイロケーションだと知った時、自分の人生全てを投げ出して、オリジナルに譲ろうとする。たしかにオリジナルの方も、ここでバイロケーションの気持ちを大切にする余裕があったら、絵でも成功したんだろうけど、まあ、人間そこまで寛容にはなれないんだよね。
オリジナルも同時に自分の人生全てを賭けて絵に取り組む。本当はバイロケーションの方だったのに、入選の連絡を聞いて喜ぶオリジナルの姿、そして自分の絵じゃないと知って混乱する姿。もう、涙なしには見られない。
かたや、愛する人と幸せに暮らし、更に自分が全てを賭けた絵の世界でもあっさりと栄光を持って行ったバイロケーション。そりゃ複雑だわなあ。
あの時ああしておけば、というのは「バタフライ・エフェクト」なんかでも取り上げられてた主題だけど「バタフライ・エフェクト」では感じなかった、妙なリアル感で迫ってくる。
自分ならどうする? 自分なら、本当に自分を犠牲にしてでも相手の幸せを守ることができる?