シネマチップスに憧れて

ジジイになって来て、見た映画を忘れてまた見る、ということが増えてきた。名作ならよい。だが、好きでもない映画は大抵忘れているので、半分以上見てからようやく気がつくことがある。それを防ぐために、自分のための映画備忘録である。採点もしたが、これは単純にもう一度見る価値があるかどうか、という個人的な指標でしかない。だから総ての記事がネタバレ含む。未見の人は読まないように。

バイロケーション 表 2014年/日本/119分/70

暫く更新してなかったけど、この映画に掛かりっきりであった。もう一度観るかどうかって基準でブログ始めたのに、もういきなり何度も見返してしまった。

いつも自分の記事書く為、というよりも、同じ映画を他の人はどんな風に見てるのかって考えたりして、いろいろと他のブログを読むんだけど、今回は題材が語りたくなるタイプの映画なので、本当にいろんなところでいろんな素晴しいブログを発見した。

そしてみんなそれぞれの素晴しい意見を読ませて貰って、同じ映画を一本見てたら、話題ってきっと尽きないんだろうなあ、と思ったりした。友達居ないけど。

さて、バイロケーション表。wowowの分類では「ホラー」になってるが、この映画はホラーではない。でも、ラストは最高にホラー。

ハッピーエンド以外はクソ映画だと決めつけてるワタクシにとって、本来ならとても許容できないラストである。しかしながら、そこに辿り付くまでのプロセスや水川あさみさんの魅力もあるんだけど、切って捨てることは出来ない、哀しいラストである。もう涙なしでは居られない。

制作陣がホラーを意識しすぎたのか、せっかくの題材を逆に生かしきれてないって感じがした。もう一人の自分、ということがテーマで、しかもその相手が殺しに来る、という設定。いや、ま、ほんとにコワイ設定なんだけど、それならそれでそっちに徹すればいいのに、人間ドラマ入れちゃうから、却って粗が見える。

何度も見直したくなる映画なんだけど、何度見直しても「夢落ち」に通じる卑怯な描写がいくつもある。都合のいい説明だけあって、肝心なところはスルー。せっかくのバイロケーションという素材を生かしきっておらず、サスペンスとしては全くのお粗末な二流。

しかし、この映画で観るべきところはそこじゃない。

愛するべきものの為に、守るべきものの為に、自分は何ができるだろうか。

人生のテーマを重く突き付けて来るのであった。

「裏」へ続く。